薬剤師国家試験の大学別合格率|ランキングやからくりも解説

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薬剤師国家試験の大学別合格率|ランキングやからくりも解説

「うちの大学、薬剤師国家試験の合格率が低いかも……」

「ネットのワーストランキングを見て不安になった」

薬学部で学ぶあなたにとって、日々の過酷なテストや実習を乗り越えた先にある国家試験は、卒業後の進路に大きく関わる重要な試験です。だからこそ、合格率の数字に敏感になってしまうのは当然のことです。

本記事では、薬剤師国家試験の大学別合格率についてランキングや合格率のからくりも詳しく解説します。数字に振り回されず、薬剤師になるための本当のデータの読み解き方を一緒に見ていきましょう。

薬剤師国家試験の大学別合格率はどの基準で見るべき?

大学別合格率を確認する際に見るべき指標は、実際に受験した人数に対する合格者の割合です。これは厚生労働省が公表する算出基準であり、出願者数ではなく実受験者をベースにしている点が重要です。例として、以下の大学のデータをご覧ください。

大学名受験者数合格者数合格率
名城大学(総数)259名239名92.28%

このように、具体的な分母と分子を把握すれば、合格率がどの人数規模をもとに算出されているのかを把握できます。単にパーセンテージだけでなく、実際の人数規模に目を向ける習慣をつけましょう。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

総合格率だけで大学の実力を判断しない

新卒・既卒・その他の受験者をすべて合算した総合格率だけで、大学の教育力や学生支援体制は測れません。なぜなら、既卒者の受験割合が多い大学ほど計算上どうしても総合格率が引き下げられてしまうためです。実際に、厚生労働省の第111回薬剤師国家試験のデータに基づく第一薬科大学の結果を見てみましょう。

受験区分(第一薬科大学)受験者数合格率
総数256名35.16%
6年制新卒46名73.91%
6年制既卒185名30.27%

一見すると総数の数値に目が行きがちですが、新卒者に限定すると全体平均より大幅に高い合格率を示しています。大半を占める既卒者の結果が全体の数値を大きく押し下げており、表面的な数字だけで判断する危険性が分かります。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

新卒・既卒・ストレート合格率を分けて比較する

自分に合った大学選びや正確な比較を行うなら、厚労省の新卒・既卒別合格率と文科省の標準修業年限内の合格率を併用するのが最適です。標準修業年限内の合格率は、留年せずに6年間で国家試験を突破できた割合を示します。文部科学省の2025年度調査(2019年度入学生対象)によると、設立母体によって以下のような傾向が見られます。

大学区分標準修業年限内の国家試験合格率
国立大学80.0%
公立大学75.9%
私立大学56.8%
国公私立計58.8%

標準修業年限内の国家試験合格率について、国公立と私立で大きな開きがあることが分かります。入試難易度やカリキュラムの違いが反映されているため、単年度の国試結果だけでなく入学後の学習内容も含めて比較検討しましょう。

参照:薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果|文部科学省

第111回薬剤師国家試験の大学別合格率はどうだった?

第111回薬剤師国家試験の全体合格率は68.49%であり、各大学の内訳(総数・新卒・既卒)は厚生労働省の公開資料で確認が可能です。全体の傾向を把握することは、自身の立ち位置や今後の対策を練るうえで欠かせないステップです。ここでは、発表された最新データから見えてくる重要なポイントを解説します。

第111回の全体平均の合格率は68.49%だった

第111回薬剤師国家試験における全体の平均合格率は68.49%でしたが、新卒者に限定すると86.25%と非常に高い水準に達しています。以下の表は、厚生労働省が公表している受験区分ごとの詳細な結果です。

受験区分受験者数合格者数合格率
全体(総数)12,774名8,749名68.49%
6年制新卒7,781名6,711名86.25%
6年制既卒4,871名2,013名41.33%

上記のデータから、新卒と既卒の間には約45ポイントものギャップが存在しています。新卒者と既卒者では学習環境や対策状況が異なるため、合格率に差が出ている可能性があります。

参照:第111回薬剤師国家試験の結果について|厚生労働省

大学別合格率は厚労省の大学別合格者数で確認できる

志望校や在籍校の正確な実績を知りたい場合は、厚生労働省の公式ページにある大学別合格者数の資料を直接参照してください。SNSやまとめサイトの情報は一部が切り取られているケースがあり、鵜呑みにすると実態を見誤る原因になります。厚生労働省の資料では、全国の国公私立大学について以下の区分で詳細なデータが網羅されています。

  • 総数
  • 6年制卒業者の新卒
  • 6年制卒業者の既卒
  • その他

厚生労働省の情報を直接チェックし、自分の目で内訳を確かめることが最も確実な情報収集の方法です。気になる大学がある場合は、必ずこれらの区分すべてに目を通すようにしましょう。

参照:第111回薬剤師国家試験の合格発表を行いました|厚生労働省

薬剤師国家試験の合格率が低い大学はどう判断すべき?

全体の合格率が著しく低い大学をチェックする際は、「既卒者の受験者数がどれくらい含まれているか」を真っ先に確認してください。前述のとおり、既卒者の合格率は新卒者より低い傾向にあります。

そのため、過去の卒業生が多く再受験している大学は総合格率が低く見えやすくなります。実際に第111回薬剤師国家試験の結果から、顕著な例を挙げて見てみましょう。

大学名区分受験者数合格率
青森大学総数76名35.53%
青森大学新卒29名72.41%
日本薬科大学総数295名39.32%
日本薬科大学新卒72名75.00%

どちらの大学も、総数だけを見れば30%台と低迷しているように映ります。しかし、新卒に限れば70%を超えており、総合格率だけでは現役生への教育水準を判断できないことが分かります。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

ワーストランキングは単年度データだけで判断しない

ネット上で見かける合格率のワーストランキングは、試験ごとのブレや受験者構成の偏りが反映されています。そのため、単年度の結果だけで教育力を断定するのは危険です。

本当に重視すべきなのは、入学した学生がどれだけスムーズに進級し、国家試験にたどり着けているかというプロセス全体の質です。文部科学省の2025年度調査(2019年度入学生・国公私立計)では、以下のようなデータが示されています。

  • 5年次進級率:77.0%
  • 卒業率:67.7%
  • 標準修業年限内の国家試験合格率:58.8%

留年せずに卒業した割合は約3分の2で、標準修業年限内に国家試験合格まで至った割合は約6割です。進級判定や卒業判定の厳しさによって、国家試験の受験者数や合格率の見え方が変わる可能性もあります。そのため、入学から卒業までの長期的な推移を見極める視点を持ちましょう。

参照:薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果|文部科学省

薬剤師国家試験の大学別合格率にはどんなからくりがある?

大学別合格率は受験者数を基準とするため、出願後の未受験者や留年・卒業延期による脱落者の存在が見えにくいというからくりがあります。

出願者数と受験者数の差で合格率の印象が変わる

公式の合格率は実際の受験者を母数にして算出されるため、出願者数に対して受験者数が少ない場合、受験者ベースの数値は高く見えることがあります。出願から受験までの間に一定数の離脱者が生じる実態を把握することが、正確な大学の評価には欠かせません。厚生労働省が公表した第111回薬剤師国家試験の資料から、出願者と受験者の差が大きい新卒データの例を比較します。

大学名出願者数受験者数合格者数合格率出願者ベースの合格率(試算)
北海道医療大学136名76名75名98.68%約55.15%
帝京平成大学125名93名75名80.65%60.00%

公表される高いパーセンテージには、様々な事情で未受験者は公式合格率の分母に含まれていません。表面的な数字のランキングだけで判断せず、分母に何が使われているかを意識してデータを読み解く視点が必要です。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

留年や卒業延期は国家試験の合格率に直接反映されにくい

厚労省が発表する大学別合格率は試験当日の受験者を中心とする指標であり、留年や卒業延期で受験資格を得られなかった学生の状況は反映されません。真の教育実績を知るには、文部科学省の「薬学部における修学状況等」の調査項目を参照するのが有効です。同調査では、学生が入学から国家試験に至るまでのプロセスを可視化する以下の指標が公開されています。

  • 5年次進級率
  • 実習修了率
  • 卒業率
  • 国家試験合格率

これらのデータは、指標ごとに算出条件が異なるため、脚注も確認する必要があります。国試の合格率と修学状況のデータを掛け合わせることで、初めて大学の全体像が浮き彫りになります。

参照:薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果|文部科学省

ストレート合格率を見ると大学の実態を判断しやすい

入学から6年間で留年せずに進級・卒業し、国家試験を突破できたストレート合格率を確認すれば、大学生活のリアルな厳しさが把握できます。文部科学省の2025年度調査(2019年度入学生)によると、国公私立全体での5年次進級率は77.0%、卒業率は67.7%にとどまります。これを設置主体別の「標準修業年限内の国家試験合格率」で比較すると、以下のとおりです。

設置主体標準修業年限内の国家試験合格率
国立80.0%
公立75.9%
私立56.8%
国公私立計58.8%

入学者全体のうち、最短ルートで薬剤師になれるのは全体の約6割と過酷な現実が示されています。標準修業年限内の合格率は、卒業率とあわせて見ることで、入学後の学習継続のしやすさを判断する材料になります。

参照:薬学部における修学状況等 2025年(令和7年)度調査結果|文部科学省

国立大学・公立大学・私立大学で合格率に差はある?

設置主体別の総合格率には差が見られますが、これは偏差値だけでなく既卒者の割合や母数の違いが大きく影響しています。

国立・公立・私立は設置主体別に分けて比較する

全大学を一括のランキングで比較するのではなく、国立・公立・私立など設置主体を分けてデータを見るのが公平な評価につながります。なぜなら、それぞれの設置主体によって学生の母数や入学定員、入学者層の性質が根本的に異なっているためです。厚生労働省の第111回薬剤師国家試験のデータでは、以下のように受験者数の規模に圧倒的な差があることが分かります。

設置主体受験者数
私立11,762名
国立607名
公立404名

受験者数が少ない国公立と多い私立を同じ条件で比較すると、数名の合否によるブレを見誤るリスクがあります。正確な立ち位置を把握するためには、各カテゴリー内で新卒・既卒を切り分けて分析するステップが不可欠です。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

合格率の差は偏差値だけでなく母数や既卒者比率にも左右される

国公立と私立の間に見られる合格率の差は、入学時点の学力差だけでなく、再受験に挑む既卒者が占める割合に大きく左右されます。厚生労働省の第111回薬剤師国家試験の結果から、受験者に占める既卒者比率を比較すると構造的な違いが明らかです。

設置主体既卒受験者数既卒者比率(試算)
私立4,736名約40.3%
公立63名約15.6%
国立72名約11.9%

既卒生の合格率は現役生より低いため、この比率が高い私立は、総合格率が低く出やすい傾向です。文部科学省の調査では、実質競争倍率・定員充足率・卒業率・国家試験合格率などの指標が大学別に示されています。複合的な要因を見極める必要があります。

参照:第111回薬剤師国家試験 大学別合格者数|厚生労働省

薬学部選びで大学別合格率をどう活用すべき?

ある年の合格率が突出して高くても、翌年には大きく下がるケースがあるため、少なくとも直近3年分の推移を追うことが大切です。単年度のデータは、その年の出願者と受験者の差や既卒者の動向によって数値が乱高下しやすい性質を持っています。厚生労働省の資料に基づく、直近3年間の全体合格率と変動幅が大きい横浜薬科大学の推移を見てみましょう。

回数全体合格率横浜薬科大学の総合格率
第109回68.43%50.70%
第110回68.85%52.77%
第111回68.49%44.21%

全体平均は安定していますが、個別大学の数値は年によって数ポイントから10ポイント近く変動する場合があります。一時的なランキングの順位を鵜呑みにせず、中長期的に安定した教育実績を残せているかを判断基準に据えてください。

参照:第109回薬剤師国家試験の結果について|厚生労働省

参照:第110回薬剤師国家試験の結果について|厚生労働省

参照:第111回薬剤師国家試験の結果について|厚生労働省

まとめ:薬剤師国家試験の大学別合格率は複数指標で確認しよう

薬学部選びにおいて、単年度の薬剤師国家試験合格率ランキングを鵜呑みにするのは危険です。表面的な総合格率には、合格率が低い既卒生の割合や留年・卒業延期により試験会場にすらたどり着けなかった学生の存在が隠されているためです。

大学の真の教育力やサポート体制を見極めるなら、見かけの数字だけ追うのでは不十分です。入学者全員のうち留年せずに6年間で合格できたストレート合格率や、進級率・卒業率にも注目しましょう。数字のからくりに惑わされず、新卒・既卒の内訳や複数年の推移を多角的に比較することが、後悔しない大学選びのために重要な確認ポイントです。

藤山 亮太

監修者

藤山 亮太

セントラル薬局グループ 取締役

製薬業界・大手チェーン薬局を経てセントラル薬局グループへ。薬局長、エリアマネージャー、部長を経て、現在は取締役として運営と地域連携を担っています。

一人の患者さまと深く向き合う医療人としての原点を大切にしながら、現場で得たエピソードや実績を介護事業者・自治体など社会へ発信し、在宅医療の価値を広げることにやりがいを感じています。

現場の運営と外部との交渉・連携が連動するダイナミズムのなかで、薬剤師という枠を超えた挑戦を続けています。

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