薬剤師に英語は必要か|使う仕事・服薬指導フレーズ・求人傾向を解説

薬剤師に英語は必要か|使う仕事・服薬指導フレーズ・求人傾向を解説

「薬剤師は英語で何と言うの?」「英語が苦手だと、これからの仕事で不利になるのかな」と気になっていませんか。薬剤師は英語で「pharmacist」と表現します。実務では、単語の意味だけでなく、外国人患者への服薬指導や製薬企業・CROでの英文資料対応など、英語を使う場面を知っておくことも大切です。

ただし、すべての薬剤師に高度な英語力が必須なわけではありません。本記事では、薬剤師に必要な英語力の考え方や英語を活かせる職場、服薬指導で使える基本フレーズまでわかりやすく解説します。

薬剤師は英語で何と言う?読み方・カタカナも解説

薬剤師は英語でpharmacistと表現します。読み方はカタカナで書くと「ファーマシスト」に近く、自己紹介や履歴書、外国人患者への案内でも使いやすい基本表現です。

たとえば、薬剤師であることや薬局で働いていることを英語で伝える場合は、以下のように表現できます。

  • 私は薬剤師です:I am a pharmacist.
  • 薬剤師に相談してください:Please ask a pharmacist.
  • 薬局で薬剤師として働いています:I work as a pharmacist at a pharmacy.

日本の薬剤師法の公式英訳でも、薬剤師は「pharmacist」、薬剤師法は「Pharmacists Act」と訳されています。そのため、日常会話だけでなく、公的な文脈でも使いやすい表現と言えます。

参照:薬剤師法|日本法令外国語訳DBシステム

「pharmacy」「chemist」「略称」の違い

pharmacistと似た単語に、pharmacyやchemistがあります。混同しやすいですが、それぞれ意味が異なります。薬剤師を英語で表す場合は、まずpharmacistを使うと覚えておきましょう。

表現意味使い方の例注意点
pharmacist薬剤師I am a pharmacist.人を指す基本表現
pharmacy薬局、薬学、調剤I work at a pharmacy.薬剤師本人には使わない
chemist化学者/英国英語で薬剤師I went to the chemist’s.地域差がある
licensed pharmacist免許を持つ薬剤師I am a licensed pharmacist in Japan.海外資格との違いに注意

pharmacyは薬局・薬学・調剤業務を指す言葉で、人を表す単語ではありません。また、chemistは基本的に化学者の意味ですが、英国英語では薬剤師や薬局を指す場合もあります。米国英語や国際的な場面では誤解を避けるため、薬剤師はpharmacistと表現するのが無難です。

薬剤師の略称については、一般向けの文章や自己紹介では無理に使う必要はありません。英文履歴書などで資格を示す場合は、licensed pharmacistのような表現が使いやすいでしょう。

薬剤師に英語力は必要?結論、必須ではないが強みになる

日本国内で薬剤師として働くうえで、英語力が常に必須とは限りません。ただし、英語ができる薬剤師は、職場や業務内容によって強みを発揮しやすくなります。たとえば、以下のような職場では、薬剤師が英語を使う場面が出てくる可能性があります。

  • 外国人患者が多い地域の調剤薬局
  • 外国人患者の受け入れが多い病院
  • 訪日外国人の来店が多いドラッグストア
  • 製薬企業
  • CRO
  • 外資系企業

なお、大切なのは「英語が流暢に話せるか」だけではありません。薬剤師には、薬の適正使用に必要な情報提供や指導を行う役割があります。相手が外国人患者の場合も、英語・多言語資料・医療通訳・翻訳ツールなどを組み合わせ、服薬内容を正確に理解してもらう姿勢が重要です。

参考:薬剤師法(◆昭和35年08月10日法律第146号)|厚生労働省

薬剤師が英語を使う主な仕事・場面

薬剤師が英語を使う場面は、大きく分けると患者対応・OTC販売・企業業務の3つです。

調剤薬局・病院での外国人患者対応

調剤薬局や病院では、外国人患者に対して処方箋の内容や薬の使い方を英語で確認・説明する場面があります。たとえば、服薬指導では以下のような項目を確認します。

  • 初めて使う薬か
  • 他に飲んでいる薬はあるか
  • アレルギーはあるか
  • 妊娠中・授乳中か
  • いつ、何錠、何回飲むか
  • 副作用が出た場合にどうするか

英語対応ではフレーズを覚えるだけでなく、「患者が服薬方法や注意点を理解できているか」を確認する必要があります。説明が難しい場合は、厚生労働省の多言語説明資料や薬局向けの英語コミュニケーションマニュアルなどを活用すると安心です。

参考:外国人向け多言語説明資料 一覧|厚生労働省

参考:外国人患者対応のための 英語コミュニケーション マニュアル|一般社団法人 くすりの適正使用協議会

ドラッグストアやOTC販売での接客

ドラッグストアでは、訪日外国人や在留外国人から「風邪薬がほしい」「胃薬を探している」など、OTC医薬品について相談されるケースがあります。この場合の英語は、難しい医療英語というより、症状確認や安全確認、用法・用量の説明が中心です。確認すべき項目には、次のようなものがあります。

  • どのような症状があるか
  • いつから症状が続いているか
  • 年齢や持病
  • 服用中の薬
  • アレルギーの有無
  • 妊娠中・授乳中か
  • 医師の診察を受けているか

OTC医薬品を扱う際は要指導医薬品の区分に加え、一般用医薬品の中でも第1類・第2類・第3類などで情報提供のルールが異なる点に注意が必要です。そのため、英語で接客する場合も「市販薬だから簡単」と考えず、症状や背景を慎重に確認しましょう。

製薬企業・CRO・外資系企業での英語業務や安全性管理

製薬企業・CRO・外資系企業で求められる英語は、調剤薬局やドラッグストアで使う患者対応英語とは性質が異なります。会話力だけでなく、英文資料を正確に読む力や専門用語を理解する力、メールや報告書で正確に伝える力が重要です。

たとえば、CRAは治験の開始準備や医療機関との調整、モニタリング、報告書作成などを行う職種です。MRは医療従事者に医薬品の効果や使い方に関する情報を提供し、医療現場から情報を収集します。安全性情報やPV領域では、以下のような略語・用語に触れるケースがあります。

用語意味
CRAClinical Research Associate/臨床開発モニター
CROContract Research Organization/医薬品開発業務受託機関
GCPGood Clinical Practice/医薬品の臨床試験の実施基準
ICSRIndividual Case Safety Report/個別症例安全性報告
PBRERPeriodic Benefit-Risk Evaluation Report/定期的ベネフィット・リスク評価報告
PVPharmacovigilance/医薬品安全性監視
RMPRisk Management Plan/医薬品リスク管理計画

調剤薬局の英語が「患者にわかりやすく伝える英語」だとすれば、製薬企業やCROの英語は「専門文書を正確に読み、記録・報告する英語」です。

英語力を活かせる薬剤師求人で確認したいポイント

英語力を活かせる薬剤師求人を探すときは、「英語力歓迎」「英語を活かせる」という表現だけで判断しないことが大切です。求人票では、「英語をどの業務で、どの程度使うのか」まで確認しましょう。特に見るべきポイントは、以下の通りです。

確認項目見るべきポイント
英語使用場面患者対応、電話、メール、文献読解、翻訳、会議など
使用頻度毎日使うのか、必要時のみなのか
求められるレベル日常会話、医療英語、ビジネス英語、TOEICスコアの目安など
職種・業務内容調剤、OTC、薬事、臨床開発、安全性情報、品質保証など
教育体制マニュアル、研修、通訳ツール、先輩のフォローの有無
労働条件勤務時間、休日、給与、勤務地、残業、異動範囲など

たとえば、外国人患者対応が月数回ある求人と海外拠点との英文メールが日常的に発生する求人では必要な英語力が大きく異なります。面接では「英語を使う場面は具体的に何ですか」「一人で対応する場面はありますか」と確認すると、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

服薬指導で使える薬剤師向け英語フレーズ

服薬指導で使う英語は、受付・確認・飲み方・副作用などの場面ごとに短く正確に伝えられるフレーズを押さえることが大切です。

受付・確認で使う英語

受付では処方箋やお薬手帳の確認だけでなく、現在飲んでいる薬やアレルギー、妊娠・授乳の有無などを聞く必要があります。英語が得意でない場合でも、以下のようなよく使う表現を定型文として準備しておくと確認漏れを減らしやすくなります。

日本語英語フレーズ使用場面
処方箋を見せてくださいMay I see your prescription?処方箋確認
お薬手帳はありますかDo you have your medication record book?服薬歴の確認
現在、飲んでいる薬はありますかAre you currently taking any other medicines?併用薬の確認
薬や食べ物のアレルギーはありますかDo you have any allergies to medicines or foods?アレルギー確認
妊娠中または授乳中ですかAre you pregnant or breastfeeding?妊娠・授乳確認
何か質問はありますかDo you have any questions?理解確認

受付時の英語は、丁寧さよりも必要な確認を漏らさないことが優先です。英語が通じにくい場合は翻訳ツールや多言語資料を併用し、重要な情報は指差しや書面でも確認しましょう。

薬の飲み方・副作用を説明する英語

薬の飲み方を英語で説明するときは、回数・タイミング・量・注意点を分けて伝えるとわかりやすくなります。以下のように、曖昧な表現を避け、患者がそのまま行動できる言い方を意識しましょう。

日本語英語フレーズ
1日1回飲んでくださいTake this once a day.
1日2回飲んでくださいTake this twice a day.
食後に飲んでくださいTake this after meals.
食前に飲んでくださいTake this before meals.
寝る前に飲んでくださいTake this at bedtime.
1回1錠飲んでくださいTake one tablet per dose.
症状があるときに飲んでくださいTake this when you have symptoms.

なお、副作用を説明する場合は症状名を伝えるだけで終わらせず、相談先まで案内することが大切です。

日本語英語フレーズ
眠気が出ることがありますThis medicine may make you sleepy.
車の運転は避けてくださいPlease avoid driving.
発疹が出た場合は相談してくださいIf you get a rash, please consult a doctor or pharmacist.
吐き気や下痢が出ることがありますYou may feel nauseous or have diarrhea.
息苦しさがある場合はすぐ相談してくださいIf you have trouble breathing, seek medical attention immediately.

副作用の内容は薬ごとに異なります。具体的に説明する際は、添付文書や患者向医薬品ガイドなどで確認したうえで伝えましょう。

英語が苦手な薬剤師は何から勉強すればいい?

英語が苦手な薬剤師は、難しい医療英語やTOEIC対策から始めるのではなく、自分の職場で実際に使う表現から優先して覚えましょう。

まずは服薬指導の定型フレーズから覚える

最初に覚えるべきなのは、患者安全に直結する確認・説明フレーズです。発音の美しさや会話の流暢さよりも、以下の業務ごとに必要な項目を英語で確認できることを優先しましょう。

場面覚えたい内容
受付処方箋、お薬手帳、初回来局の確認
問診服用中の薬、アレルギー、妊娠・授乳
服薬説明1日何回、いつ、何錠飲むか
注意事項眠気、運転、飲み忘れ、保管方法
副作用発疹、吐き気、下痢、息苦しさなど
理解確認質問がないか、再説明が必要か

定型フレーズは紙のメモやスマホ、薬局内マニュアルとして見ながら使える形にしておくと実用的です。

国家試験よりも実務・キャリアに応じた英語学習を意識する

薬剤師の英語学習は国家試験の延長ではなく、実務やキャリアから逆算して考えることが大切です。国家試験は薬剤師として必要な薬学知識や実務能力を確認する試験であり、英語対応そのものを身につける学習とは目的が異なります。

薬局・病院で働く場合は患者対応や服薬指導、副作用確認に使う英語を優先しましょう。ドラッグストアでは、OTC医薬品の症状確認や商品説明が役立ちます。一方、製薬企業・CROを目指す場合は英語の治験文書や安全性情報、英文メールなどを読める必要があります。

目指す職場優先したい英語学習
調剤薬局受付、服薬指導、アレルギー確認
病院問診補助、入院患者対応、多言語資料の活用
ドラッグストアOTC販売、症状確認、受診勧奨
製薬企業薬事、品質、安全性情報、学術の専門英語
CRO治験実務英語、英文報告書、国際共同治験文書

今の職場、または目指すキャリアで実際に使う英語から学び始めましょう。

薬剤師に英語は必須ではないが、キャリアの選択肢を広げる武器になる

薬剤師に英語力は必ず必要というわけではありませんが、外国人患者対応や製薬企業・CROなどの仕事では強みになります。調剤薬局や病院では、受付・問診・服薬指導・副作用確認などで、短く正確に伝える英語が重要です。

一方、製薬企業やCROでは英文資料の読解や治験・安全性情報に関する専門英語が求められる場合があります。英語が苦手な薬剤師は、まず服薬指導で使う定型フレーズから覚え、目指す職場に合わせて実務英語を広げていきましょう。

藤山 亮太

監修者

藤山 亮太

セントラル薬局グループ 取締役

製薬業界・大手チェーン薬局を経てセントラル薬局グループへ。薬局長、エリアマネージャー、部長を経て、現在は取締役として運営と地域連携を担っています。

一人の患者さまと深く向き合う医療人としての原点を大切にしながら、現場で得たエピソードや実績を介護事業者・自治体など社会へ発信し、在宅医療の価値を広げることにやりがいを感じています。

現場の運営と外部との交渉・連携が連動するダイナミズムのなかで、薬剤師という枠を超えた挑戦を続けています。

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